開発ノウハウ

ローコード/ノーコード×AI開発:早く、安く、高機能なプロトタイプを作る技術

独自性=フルスクラッチ、という固定観念の危うさ

AIプロダクトの新規開発をご相談いただく際、多くのお客様が「自社ならではの価値を出すなら、システムは最初からすべて自社専用に作り込まないといけない」とお考えになっているケースによく遭遇します。

もちろん、潤沢な予算と数年単位の猶予があり、要件が1ミリもブレない確証があるならば、それも一つの正解かもしれません。しかし、不確実性の高い立ち上げ期のプロジェクトにおいて、いきなりフルスクラッチ(完全なゼロからの手組み開発)に踏み切るのは、率直に言ってかなり危うい判断になり得ます。

数千万のコストと半年以上の期間をかけて「完璧なシステム」を完成させたとしても、いざ市場に出してみたら「ユーザーが本当に欲しかった機能は別のものだった」と判明する。これはシステム開発の現場で幾度となく繰り返されてきた光景です。経済産業省のDX関連レポートやIPA(情報処理推進機構)の『DX白書』等でも、近年のビジネス環境においては仮説検証のサイクルを俊敏(アジャイル)に回す能力が企業競争力に直結すると繰り返し指摘されています。市場のリアルな反応を得る前に資金と時間を使い果たしてしまう事態は、なんとしても避けなければなりません。

PoCによる性能担保と、ミニマム開発を繰り返すアプローチ

このような「重厚長大すぎるスタート」によるリソースの枯渇を防ぐため、弊社では、いきなり大規模なシステム構築には着手しません。まずはPoC(概念実証)を実施してAIのコアとなる性能をしっかりと担保した上で、ミニマムに作る(最小限の実装を行う)工程を短期間で繰り返すスタイルを基本としています。

具体的には、初期段階のプロトタイプ構築において、AI開発の標準言語であるPythonと極めて相性の良い「Streamlit」などのフレームワークを積極的に活用します。

Streamlitを使えば、データサイエンスやAIの処理結果を可視化するWebアプリケーションを、フロントエンドの複雑なコーディングなしに素早く立ち上げることができます。そこに、OpenAIのAPIや各クラウドベンダーの機械学習サービスを裏側(バックエンド)として連携させることで、最速で動くモックアップを構築するのです。

ユーザー認証やデータベース管理といった「どのサービスでも共通して必要になる周辺機能」はいったん既存のSaaS等に任せ、自社のエンジニアリソースをビジネスの核心である「AIのプロンプト調整や精度向上」にのみ集中投下します。

スピードとコストパフォーマンスがもたらす優位性

この手法を採る最大のメリットは、圧倒的な検証スピードです。従来であれば要件定義から実装まで数ヶ月を要していたPoCやMVP(実用最小限の製品)の構築が、数週間という単位にまで圧縮できます。

これは特に、スピードとコストパフォーマンスを最重視するスタートアップ企業様にとって、初期の生存確率を左右する重要な選択肢になると考えています。AIの出力結果を実際の画面で確認しながら、改善が必要であればすぐに修正し、仮説が外れた場合でも投じたコストが少ないため、ダメージを引きずることなく素早く方向転換が可能です。

「プロトタイプだから低品質」は一昔前の常識

「そうは言っても、そうしたツールを組み合わせただけのプロトタイプでは、実用性に欠けるのでは?」というご懸念もあるかと思います。

しかし、現在のStreamlitをはじめとするローコード的なフレームワークは、最新の大規模言語モデル(LLM)や外部の複雑なデータベースと非常に柔軟に繋ぎ込めるよう進化しています。ユーザーに提供するコアな価値、つまり「裏側のAIエンジンがどれだけ賢く、役に立つ回答を返せるか」という点においては、フルスクラッチで構築した場合と同等のクオリティを十分に担保できる状況になっています。

検証すべきコア価値にフォーカスするための具体策

  • UIの構築短縮: Streamlitなどを活用し、AIの出力結果をユーザーがテストできる環境を最速で用意する。
  • AIモデルの迅速な統合: 自社専用モデルの学習に膨大な時間をかける前に、まずは汎用的な最高峰AIモデルをAPI経由で組み込み、出力の精度と実用性を検証する。
  • 市場投入と反復改善: 実際のユーザー行動データやフィードバックを取得し、プロンプトの調整や処理ロジックの改善を日単位で繰り返す。

ビジネスの現場で問われるのは、ソースコードがゼロからすべて書かれているかどうかではなく、「顧客の抱える課題をいかに早く、的確に解決できるか」に尽きます。

まずは初期費用を抑えてAIの性能を確かめたい、あるいはアイデアを最速で形にして投資家へのデモを見せたいとお考えの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。技術を目的化せず、ビジネスを前進させるための最適な手段をご提案いたします。

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